About

  • 人間の無意識なふるまいや日常の事物・現象を観察し、そこに潜む構造や関係を捉え直すことで新しい問いを立てる
  • 人間の知覚や認知のはたらきを用いて、見る人自身の想像によって成立する表現の方法を研究・開発する
  • 観察すること、抽象化すること、問いを立てることを、創造のための技術として研究・開発する

KARIMOKU Me / Ours

Projects Forms 2023-ongoing
カリモク家具の「座り心地研究」から生まれた、二つの新しい椅子。
痕跡の標本をはじめとしたリサーチから「身体は密かに動き続けている」という視点に基づいて、様々な姿勢を取る動的な身体を受け止めるためのタスクチェアとして設計されている。
KARIMOKU Ours
KARIMOKU Me

Blue Waves

Projects Forms 2025-2026
本作品は、一般社団法人3710Lab(みなとラボ)との協業によって行われた、海洋教育に関するデザインプロジェクトの成果物である。このプロジェクトでは「どうすれば、海に憧れ、海を好きになり、海自体を身近なものとして感じられるようにできるのか」という問いから、海そのものの面白さや可能性を社会に拓いていくことを目指している。
「海の身体化」という視点から、波の動きやメカニズムを、身体運動によってさまざまに再解釈する中で、ブルーシートを適切な力と方向で扇ぐことによって、本物の海の波のような動き・音・風圧を体感できる状態を作り出した。

類似した物性からは、同じふるまいを発生させられるのではないか

  • ふるまいが物性に由来すると仮説を立てて考えてみる
  • 同様の性質を見出せる物について、操作の仕方や条件によって同じような事象やふるまいを発生させられるのではないか

痕跡の標本

Forms 2024
本作品は「座る」行為に対する、カリモク家具とのアーティスティックリサーチの一つとして、10代から70代までの各世代の男女計14名の座っている様子を観察し、つま先、踵、膝、臀部、頭の動きを取り出して映像化した。これらの動きの痕跡をさまざまな形で視覚化してみると、これまで「止まっている」というイメージだった「座る」という行為が、実は複数の身体の部位の関係を常に更新し続ける動的な行為であることがわかる。
モニターの上に椅子を乗せた状態で、動きの痕跡だけを線で描画してみることで、実際に人の姿が無くとも存在を感じ取ることができる。
Photo : Masaaki Inoue, Bouillon

0fps

Projects Forms 2021-2024
「落ちそうさ」をイメージする、テーブルの上の花瓶

もし、静止した図版から動きのイメージを抱くというアプローチに対しても「動きを扱う表現」と捉え直すことができれば、図版を眺める際に、身体や頭の内部で起きていることを観察することをきっかけにして、新しい動きのデザインができるのではないか。そのような構想から、アニメーションなどの時間解像度を表す単位である fps (frame per second) が無いという意味の「0fps」 という名前を掲げ、単純な線で描かれた静的な手がかりから、頭の中に新しい動的な表象を抱かせるという表現手法への探求に取り組んでいる。
- ÉKRITS「動きが生まれる感覚の探求」

「ノズルの先端に水滴が溜まっている状態を描く」/「水滴が落ちた瞬間を描く」
「傾けたフレームの中で水滴が溜まる」

視線の設計

Projects Forms 2018-2022
人や生き物が何かを見ているときに、その目の中心から見ている対象へ注意を向けている様子に対して、私たちは線的なイメージを用いて「視線」と呼んでいる。他者が対象へ注意を向けている様子を理解する現象は、共同注意と呼ばれ、日常生活の様々な場面で、私たちは他者の視線を読み取りながら非言語コミュニケーションを行なっている。
本研究は、この現象を対人関係ではなく描かれた顔による視線を読み取ることで引き起こすことができれば、視線を様々なメディアや空間に設置することで、人の注意や行動を促すことが可能になると考え、そのための表現技術を、いくつかの要素に分けて整理することを目指したものである。
本研究はJSPS科研費JP18K00218の助成を受けたものです。

ルール?本

Forms 2024

この本では、デザインによってルールに対する見方を変えたり、逆にルールをデザインすることによって、物事や社会に働きかけたりすることを読者の皆さんとともに考えたいと思っています。
そのために、身の回りにどのようなルールがあり、他者や社会とのコミュニケーションのなかで、どのような過程を経てルールが現在の姿となっているのか、それ以外のあり方にはどのような可能性があるのかをさまざまな事例や作品を通して考えていきます。
ままならない現実と折り合いをつけながら、一人ひとりが自由に生きていくことができるようにルールをつくり変えていくことを、ルールと創造的に付き合うことだと私たちは考えています。
私たち一人ひとりがそのようにルールと創造的に付き合うことができれば、それは社会をつくり変えていくことにもつながるでしょう。
ルールという視点から、あなたにとって生きやすい社会が他の人にとっても生きやすい社会になるような未来をどのように共につくることができるのか、本書を通して一緒に考え、できることから実践してみましょう。
(本書「まえがき」より)

つくることから、概念や事象の新しい理解の仕方ができるのではないか

  • 「考える」という行為の一形態として、デザイナーは「つくる」という行為を選択することができる
  • 制作の中で、私たちは事象の変換や再構成を行なっている
  • つくることを直接成果物に結びつけずに、考える、理解するための手段として扱う方法について、実践をもって考えたい

Imagine Yourself / その後を、想像する

Forms 2019
Imagine Yourself(movie), 2019
Imagine Yourself(stand light), 2019
Imagine Yourself(tape), 2019
Imagine Yourself(book), 2019, photo by Nacasa & Partners Inc.
開かれた板の左右に描かれた図版が、めくることで重ねられた後、何が起こるのかを想像してみる。たとえば「ページをめくって閉じる」という行為自体が、「トングで掴んだ角砂糖をカップに入れる」という図版の解釈に作用することで、図版自体は静止した情報でありながら、頭の中では「その後、どうなったのか」が想像できてしまう。

一定の変化をし続ける映像を見る。突然絵が消えた瞬間、その後どんな変化が起きたのかを想像してみる。

どちらも、その後何が起きるかは描かれていない。これは、直前まで見てきたものを手がかりにして、頭の中にその後の変化のイメージを作り出そうとする試みである。

Please Watch It on Your Smartphone / 自分のスマホで見てください

Projects Forms 2018-2020
Dir. Syunichi SUGE + Yui Sekine / 菅 俊一 + 関根 唯
2018年から行なっている、菅 俊一と関根 唯によるスマートフォン上での映像表現の可能性を研究するプロジェクト。今回、TRANS BOOKS DOWNLOADsという場所を借りて、2020年夏に研究発表展を行う予定だった試みのいくつかをアップデートしてみなさんのスマホにお届けします。

こちらのページから作品データを購入し体験することが可能です。
https://transbooks.center/downloads/works-20/

観察の練習

Forms 2017
「観察」を「日常の中の違和感の収集」と定義し、この世界に溢れているさまざまな工夫や現象に対する驚きや面白さの事例を53本のコラムの形でまとめた書籍。

行動経済学まんが ヘンテコノミクス

Forms 2017
雑誌BRUTUSにて連載されていました「行動経済学まんが ヘンテコノミクス」が単行本になりました。行動経済学という学問の持つ面白さを、様々なマンガ表現(色々実験的な試みもしています)と文章で紹介しています。

指向性の原理

Projects Forms 2015-2017
私たちは、目で見たものを手がかりにして、頭の中でイメージを作り出している。その際、静止画のような「動いていない」情報を見た時でも「動き」や「時間の経過」を感じてしまうことがある。もちろん、どんなものを見ても、動きや時間の経過が感じられるというわけではない。動いていない情報から動きを見出すには、いくつかの条件を満たす必要があると考えている。
このプロジェクトでは、そのようなスタティックな情報提示によって、頭の中に動的な情報やイメージを生成させている現象そのものを「指向性」の生成と定義し、その生成条件及び、指向性を用いることによるメディアにおける新しい表現の可能性を示すものである。
《視線》 mixed media(LCDmonitor, Tripods, Balls), 2017
視線という「見えない指向性」の存在を露見させる試み。
本研究はJSPS科研費JP15K12844の助成を受けたものです。

注意は連鎖することができる

  • 矢印の指し示す先に矢印を置くと、さらにその矢印の指し示す先に注意が向く
    • 注意を連鎖させることができる
  • 同様に直進性を持つ、視線の先に顔図版を置くと、その顔図版の発する視線の先に注意が向く
    • 視線を連鎖させることができる

視線はメディアを超えてアクセスすることができる

  • 町を歩いていたときに、遭遇した貼り紙。膝上の高さに貼られているのだが、よく見ると黒目部分のハイライトが少し下にあり、足元でフンをしているであろう犬に向けられた視線であることがわかる
  • つまりこのポスターは、描かれた目からポスターの外へと視線でアクセスしている
  • このポスターも同様に、視線がポスターの外に向かい、人に呼びかけているように見える
  • 視線はメディアを超えることができるのかもしれない

静止した情報だけを見て、動きのイメージを生み出すことができるのか

  • 私たちはどのように動きを想像しているのか、そのイメージの生まれかたについて考えたい
  • 動いている物体や機構、またはアニメーションのように動きを直接扱っているものに対しては、私たちは動きを感じとることができる
  • 一方、静止している図や像を見ただけでも、動きの感覚を抱くことがある。その感覚を作り出すことができる条件を探りたい

紙富士

Forms 2017
紙の破れた部分をルーペによってトリミングして提示し、見立てを誘発することで、富士山の像を作り出す試み。
《紙富士 #1 原稿用紙》2017, ルーペスタンド・原稿用紙, 150 x 175 x 230 mm
《紙富士 #2 名刺用紙》2017, ルーペスタンド・名刺用紙, 145 x 140 x 125 mm
《紙富士 #3 ファインペーパー》2017, ルーペスタンド・ファインペーパー, 140 x 360 x 250 mm
《紙富士 #4 段ボール》2017, ルーペスタンド・段ボール, 165 x 200 x 135 mm

概念を性質に変換する

  • 虫眼鏡のレンズを使うことで、「トリミング」の概念を実装することができる
  • 概念を性質に変換し、フィジカルに具体化することで、新しい表現を開発できるのではないか

見るだけゲーム

Forms 2015
社会にとっての新しい映像の居場所として、YouTubeの「動画広告枠(動画視聴前に自動的に表示される動画広告)」を使った「見るだけゲーム」という新しい映像表現を制作しました。「疑似インタラクティブ」という考え方をベースに作られた、老若男女どんな人でも「見るだけ」で簡単なゲーム・遊びができるという映像です。忌み嫌われスキップされがちなこの媒体の価値を高め、いかに楽しく新しい映像体験ができるか、実際に効果測定を行いながらチャレンジしています。

注意をデザインすることから、人間の判断や行為をデザインできるのではないか

  • 事の起こりから考えることができれば、これまでと違う作り方ができる
  • 無意識に発動してしまう注意に対して、デザインや表現物は強力に関与してしまう
  • 注意をデザインすることから考えることで、人の判断や行為そのものをデザインすることができてしまう
    • 強力な認知をもたらす表現の可能性がある
    • あまりに強力すぎるので、技術と倫理の間にある

変化の間に注意を埋め込むことで因果関係を偽装できる

  • この映像では、「音と共に黄色い+があらわれる」後に「+の上に、先端が赤い棒が重なる」という変化が起こる
  • しかし、私たちがこの映像を見ることによってその二つのイベントの間に「黄色い+に注意を向ける」という、見る側のイベントが起きる
  • 間にこのイベントが挿入されることによって、「注意を向けたため、棒が重なった(棒が+を捕まえた)」という誤認が生じる
  • このように、注意を埋め込むことによって因果関係を偽装させることで、擬似インタラクティブとも言えるような関係を作ることができるのではないか

2355ID/0655ID

Forms 2010-ongoing
NHK Eテレ『Eテレ 2355』『Eテレ 0655』の番組内ID映像を企画制作しています。
  • 『2355』毎週 月〜金 よる 23:55〜0:00
  • 『0655』毎週 月〜金 あさ 6:55〜7:00
(c) NHK / ユーフラテス

変化を操作することで、意味の生まれる瞬間を観測できるのではないか

  • アニメーションによって、オブジェクトの関係を徐々に変更させることで、意味の発生を操作することができる
  • 線を描く、紙を折る、物を動かすなど、何らかの操作によって関係を変化させることで、任意のタイミングで意味の発生を起こすことができる
  • この前提を持って情報を作ることによって、視聴者・鑑賞者・体験者が意味を見出す瞬間を操作可能なものとして扱うことができるのではないか

差分

Projects Forms 2005-2009
AとB、二つの異なる静止した情報を続けて見ることで、そのどちらにも描かれていない動きや質感を、見る人の中に生じさせる表現方法について研究したプロジェクト。
図版の間にある、描かれていない情報を、見る人自身が補うことで表現が成立する。
Photo : Masaya Ishikawa

人間は差を取ることによって物事の変化を理解しているのではないか

Questions
動きも質感も、すべてはAとBの間にある差分によって感じ取っている?

CV

コグニティブデザイナー / 多摩美術大学美術学部統合デザイン学科准教授
1980年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。人間の知覚能力に基づくコグニティブデザインの考え方による問題設計や新しい表現の研究開発を軸に、社会に新しい価値を提案することを活動の主としている。主な仕事に、NHK Eテレ「2355/0655」ID映像、21_21 DESIGN SIGHT 企画展「単位展」コンセプトリサーチ、同「アスリート展」「ルール?展」展示ディレクター。著書に「差分」(共著・美術出版社)、「まなざし」(ボイジャー)、「行動経済学まんが ヘンテコノミクス」(共著・マガジンハウス)、「観察の練習」(NUMABOOKS)、「ルール?本」(共著・フィルムアート)。主な受賞にD&AD Yellow Pencilなど。主な展覧会に「あいちトリエンナーレ2019」(愛知県美術館、2019)、個展に「指向性の原理」(SOBO、東京、2017)、「正しくは、想像するしかない。」(デザインギャラリー1953、東京、2019)、「視線の設計」(多摩美術大学TUB、東京、2023)など。

Born in 1980, I completed my post-graduate studies at the Graduate School of Media and Governance, Keio University. My main focus is to research and develop new modes of expression based on human senses and make proposals to society using various media. My better-known works include “2355/0655” on NHK Educational TV, concept research for the exhibition “Measuring: This much, That much, How much?” at 21_21 DESIGN SIGHT, and I was the exhibition director for the exhibition "Rules?", “Athlete” at 21_21 DESIGN SIGHT. I have also co-authored books like Sabun (‘Difference’; Bijutsu Shuppan-Sha Co., Ltd.) and Manazashi (‘Gaze’; Voyager Japan, Inc.), “Behavioral Economics Manga: HENT-ECONOMICS”(MAGAZINE HOUSE, Ltd.), and Kansatsu-no-Renshuu(‘Exercise for observation’; numabooks). A winner of the D&AD Yellow Pencil Award, among others, I am currently an associate professor at Tama Art University.

Contact

お仕事のご依頼は mail {at} syunichisuge.com まで。

現在、アーティスティック・リサーチ、デザイン・リサーチのアプローチから始まる研究開発プロジェクトへの関心が高いです。日常に対する新しい捉え直しを経ることで、根源的な問いを立て、これまでとは全く異なるアプローチによる新しいアイデアや表現を作り出すことを得意としています。